7月18日から20日まで、京都で開催されているBitSummitには、多くのゲームクリエイターが集まります。今回は、第一線の現場で活躍するクリエイターたちが、一体どんなゲームに注目しているのかをリレー方式でご紹介していきます。前回のリレーコラム記事に続き、今回は後半戦。有名タイトルはもちろん、クリエイター目線だからこそ見つけられた面白いタイトルも目白押し!スタートは前回の続き、出原氏からです!11人目_出原氏(京都芸術大学キャラクターデザイン学科 ゲームゼミ)京都芸術大学キャラクターデザイン学科のゲームゼミに所属する出原と申します。今回出展した『Gef a くるくる』はチームメンバーと共に制作しており、「コントローラーを握らせずにゲームを楽しめたら面白そう」といった思いで挑戦しました。■気になるゲーム:Detec tacle『Detec tacle』は、センサーの埋め込まれたグローブを装着し、前方から流れる音の方向に設置されたクッションにタックルするゲームです。「タックルをして泥棒を捕まえる」という設定も用意されており、心置きなく暴れられるのも面白い発想だと思いました。一際大きなブースだったのも印象的です。【出原氏からの一言】どういうゲームか分からなかったのですが、鉄のパイプがいっぱい付いてるゲームが面白そうでした。行けば分かると思います(笑)12人目_佐藤氏,岡氏,西村氏(Studio Wink)私たちは同じ学校ではなく異なる学校や学部で結成された総勢7人で『Detec tacle』を制作しました。ゲームが大好きだったことはもちろん、スポーツで体感する心地よい動きをゲームに落とし込んだ結果として今作が生まれました。■気になるゲーム:シュレディンガーズ・コール【ゲーム紹介】『シュレディンガーズ・コール』は、少女「メアリ」を操作して、生と死の狭間で彼ら彼女らの喋り相手になるゲームです。正しい会話内容や行動を取ることで、電話の相手を苦しみから救ってあげることも。コロナ化による閉塞感を和らげてくれた”電話”から着想を得て開発された、気持ちをふっと軽くする優しい作品です。Steamページ■チームの皆様からの一言遠くから見ても存在感が凄くて、ブースから見えるなかで一番気になったゲームです!13人目_林氏(集英社ゲームズ)『シュレディンガーズ・コール』でプロデューサーを担当する林です。今作はインディーゲーム開発チーム「アクロバティックチリメンジャコ」の3名で開発を進めています。少人数での開発のため時間も掛かってしまいますが、外部のクリエイターさんにも協力して頂きつつ製品版に向けて尽力している状態です。■気になるゲーム:ピギーワン SUPER SPARK【ゲーム紹介】『ピギーワン SUPER SPARK』は、ビビッドなグラフィックと豊富なアクションが魅力の2D横スクロールアドベンチャーです。ボタンそれぞれにキャラごとの固有アクションが割り当てられており、操作キャラを変更することなく様々な動きを楽しめる点が特徴です。Steamページ【林氏からの一言】room6さんのタイトルにある『ピギーワン』がおすすめですね。作品の雰囲気も良くてゲーム性も工夫されているので、きっと楽しめると思います!14人目_高市氏(room6)『ピギーワン SUPER SPARK』のプロジェクトマネージャーを担当している高市です。hako 生活さんと、はなぶしさんのタッグが生み出す強みを前面に押し出しつつも、複数のクリエイターさんを巻き込んでバランスよく仕上がるようにデザインの企画も担当しています。■気になるゲーム:星のハルカ【ゲーム紹介】『星のハルカ』は、主人公「ユウキ」と不思議な少女「ミーヤ」が宇宙を舞台に冒険するSFジュブナイルアクションRPGです。章立ての終わりに表示される次回予告や、柔らかいタッチの世界観など、小さい子供でも楽しめるアニメ風の世界観が特徴。物語が進むと惑星を飛び出し、宇宙を舞台にして物語が進みます。Steamページ【高市氏からの一言】ピギーワンがSF系の作品なので、同じ系統のゲームを制作されているアトリエミミナさんの『星のハルカ』をおすすめします!15人目_斉藤氏(atelier mimina)川越を拠点とする「atelier mimina」の代表をしている斉藤と申します。ゲーム会社に20年勤務した後に独立し、前作の『ジラフとアンニカ』をリリースしました。現在は5年の月日を掛けて『星のハルカ』に力を注いでいます。■気になるゲーム:こふんは生きている【ゲーム紹介】『こふんは生きている』は、自分を古墳だと思い込んでいる男の子を操作する王道アドベンチャーです。人間と埴輪が共存する世界を舞台に、友情を育み成長していくジュブナイル風の作風も特徴といえるでしょう。「ぼくの中に入ってくれる死体はありますか?」と尋ねるこふんくん。何だか妙にエモいです。Steamページ【斉藤氏からの一言】一風変わった風貌をしていますが、中身は王道で少年・少女の成長を描いている作品です。普段から交流する仲なので、ぜひ遊びに行ってみてください。16人目_善乃氏(CAVY HOUSE)『CAVY HOUSE』の善乃と申します。15年ほど前からPC同人ゲーム等を作っており、気づけばインディーゲーム製作者として活動していました。現在は2名で『こふんは生きている』を制作しており、再来月にはリリースできる予定です。■気になるゲーム:打倒東京にはJimotoism【ゲーム紹介】埼玉県が率いる地元民が反旗を翻す!打倒東京の壮大な戦いが今、始まる! 独特な手足のブラブラ感がクセになる!3Dで表現された"地元"の世界を駆け巡る、新感覚プラットフォーマー!Steamページ【善乃氏からの一言】とあるテレビ番組でご一緒した方なのですが、何だか変わったゲームを作ってらっしゃってのでぜひ行ってみてください。17人目_カナメクト氏(株式会社カナメクト)カナメクト株式会社のカナメクトです。珍しい経歴だと思うのですが、ゲーム経験は一切なく、アパレルブランドの運営やYouTubeの代行会社として活動しています。自作品についてはゲーム開発者のせをはやみさんと共同で制作し、自分はプロデューサーとして参加しています。■気になるゲーム:CRAZY SONIC【ゲーム紹介】『CRAZY SONIC』は、Playdateと呼ばれるクランクの付いた専用ハード機で遊ぶタイトルです。今作はレースアクションとなっており、十字キーで障害物を避けながらクランクを回して速度を上げてぶっちぎる爽快感を感じる作品となっています。また専用ストーリーも用意されており、ミニゲーム作品の枠では収まらない拘りの強さも魅力です。【カナメクト氏からの一言】すぐ横のブースなんですが、変わったハードを使ったゲームを制作されている方が居るので気になっていました。自分の作品とタイプは違いますが、特殊な操作感を持っているゲームも良いですよね。18人目_Ideno氏(HIROSHI IDENO PRESENTS)Playdateでの開発を中心に活動しているIdenoです。元々はsteamのネットワークゲームや、スマホゲーム等を制作していましたが、最近は「itch.io」やPlaydateのカタログからゲームを配信しています。過去作として『CRANK and SHOOT!!』もリリースしているので覗いてみてください。■気になるゲーム:Baito Fight!!【ゲーム紹介】『Baito Fight!!』は、日本のスーパーファミコンやファミコンからインスピレーションを得て作成されたRPG作品です。MOTHERやUndertale等を参考にしているとのことで、端々からリスペクトも感じられます。また元々はPlaydate用タイトルとして制作していたらしいのですが、日本語に対応するためsteam版に移植した経緯もあるそうです。Steamページ【Ideno氏からの一言】モノクロの色彩や同じPlaydate製など、共通点も多く気になっていた作品でした。19人目_オースティン氏(KINGOFSHIBUYA Ltd)『Baito Fight!!』の開発者オースティンです。わたしは『ぼくのなつやすみ』が大好きで、短い時間で遊べるゲーム性とRPGを混ぜた作品を作りました。コンビニでバイトしながら社会の闇に立ち向かうゲームです。RPGでありながら、人生シミュレーターのように楽しめる作品を目指しています。■気になるゲーム:吾輩は寮生である【ゲーム紹介】『吾輩は寮生である』は、記憶を失ってネコになってしまった寮生を操作しながら、記憶を探る横スクロールアドベンチャーです。舞台となる吉田寮は京都大学の近くにある実際の寮をモチーフにしており、操作するネコちゃんも寮に住み着く「ぼん」を題材にしているとのことです。Steamページ【オースティン氏からの一言】日本っぽさを感じるアートワークも素敵ですが、英語で書かれたチラシからどんなゲームか伝わってきたので興味を惹かれました。20人目_有機彗星氏,睡睡氏,ノーダイニングキッチン氏(Project Bon)初めまして!私たちは学生だけで構成されたProject Bonと申します。元々はゲームを作っていたわけではなく、演劇仲間として活動していました。学部の研究でゲームに関するテーマに触れていたため、みんなで作ってみようと作り出したのが『吾輩は寮生である』になります。前編・後編あわせて20名のクリエイターと、彼らが気になっているゲームをご紹介しました。作り手からの視点は同志としてのリスペクトや、常識の枠組みの外にある好奇心をくすぐる見方が広がっています。「立場が変われば見え方も変わる」と言いますが、ちょっと視点を変えるだけでゲームの姿も変わるものだと感銘を受けました。自分が好きなものではなく、誰かが好きなもので遊んでみる。そんな懐の広い楽しみ方ができるのもゲームの面白さ。一歩踏み込むことで世界が変わるなら、勇気を出して踏み出してみるのも悪くないかな〜と筆者は感じました。本当に、クリエイターから見えるゲームの世界は豊かで面白いですね!この記事を読んで、これも何かの縁だと思った方は、ぜひ自分の興味から一歩外れたゲームに挑戦していただくのも、いいかもしれません。