BitSummit the 13th Summer of Yokai 1Fステージ「M.S.S Projectのクリエイターズトーク」についてレポート形式でお届けいたします。出演者:FB777、eoheoh、池田トム(ゲームデザイナー、UZZ株式会社代表取締役)、中村隆之(サウンドクリエイター、株式会社ブレインストーム代表取締役)池田トム(いけだとむ)UZZ株式会社代表取締役/ゲームデザイナー皆さまのご近所でゲームを作って23年。「ゲームは総合芸術」と唱えその新しい感情や感動の発見に情熱を注ぐゲームデザイナー。関わった代表作はロリポップチェーンソー、王様物語、勇者ヤマダくん、BLACK BIRD、ハテナの塔、へべれけ2。UZZ株式会社の代表取締役。中村隆之(なかむらたかゆき)株式会社ブレインストーム代表取締役/サウンドクリエイターゲーム音楽と効果音制作を中心に、長年にわたり多くの作品を手がけてきたサウンドクリエイター。代表作には『バーチャファイター』『カスタムロボ バトルレボリューション』『シェンムーIII』などの人気ビデオゲームの音楽・効果音制作がある。また、『ルミネス』『メテオス』など音楽とゲームが融合したパズルゲームシリーズのサウンド制作も担当。ゲーム以外の分野でも、日本科学未来館の常設展示「アナグラのうた」(文化庁メディア芸術祭 優秀賞受賞)や、未来を逆算して考える展示「未来逆算思考」(DSA日本空間デザイン賞 入選)の音響システムを手がけるなど、空間演出や教育コンテンツにも関わっている。ジャンルやプラットフォームを問わず、メディア全体に「音」でアプローチする、独自のスタイルを持つサウンドクリエイター。ーー『ハテナの塔 —The Tower of Children』、『王様物語』、『勇者ヤマダくん』、『BLACK BIRD』、『ヘベレケ2』を手掛けたUZZ株式会社代表取締役でゲームデザイナーの池田トムさん、『バーチャファイター』、『カスタムロボ バトルレボリューション』、『シェンムーIII』の音楽を手掛けた株式会社ブレインストーンの代表取締役でサウンドクリエイターの中村隆之さんです。二人:本日はよろしくお願いします。ーーなぜか最初の質問が「お二人は僕たちの配信を見たことありますか」となっているのですが、単純に配信者とかゲーム実況見られたりしますか?池田トムさん:そうですね。中村隆之さん:なんなら僕は配信もやってますので。「夜のゲーム菩薩 K-POP」というYOUTUBEチャンネルをやっているので、よかったらみてください。ーー中村さんはBitSummitには第1回から参加されているんですよね。中村隆之さん:皆勤賞で、1回目はほんとにライブハウスでやってました。ほとんど一般の人も入れなかったと思います。これだけ大きくなってほんとびっくりしています。ーーちなみに会場で流れている音楽も中村さんがご提供されているとのことで。中村隆之さん:そうですね。メインステージで司会の方が入ってくる曲とかは作った曲を使っていただいたりとかしてますね。ーーちょっと個人的な質問でもう定番ですが、お二人が子供の頃に好きだったゲームは何だったのでしょうか。池田トムさん:たくさんありますよね。スーパーファミコンの『シムシティ』とか、『ドクターマリオ』とかが好きでしたね。中村隆之さん:正直、ゲームやり始めたのが割と遅かったんですよ。昔、セガにいたんですけど、入社してゲームに目覚めた感じです。『バーチャファイター』の音楽をやらせてもらったんですけど、それをきっかけに格闘ゲームがすごい好きになりました。当時は結構上手かったと思います。ちょっと自信はありましたよ。ーーゲーム以外で影響を受けたものとかありますか?池田トムさん:山登りが好きで、子供のころは叔父と一緒にいろんな山に行ったんですよ。ほんとに結構影響受けて、なんかレベルデザインみたいじゃないですか。徐々にレベルが上がって報酬があって、継承があって、土地を補給しないといけないし。山登りはいいです。山登りをしましょう。中村隆之さん:結構いい年なのであんまりいうと若い人の感覚に合わないかもしれない。漫画だったらやっぱ手塚治虫さんとかですかね。ーーゲーム業界に入ったきっかけとかお聞きしてもよろしいでしょうか。池田トムさん:最初、警察官を目指してたんです。『あぶない刑事』というテレビドラマが好きで、銃をいっぱいバンバン撃ちたかったんですけど、実際に警察学校へ行って全然撃てないことを学びました。どうやったら合法的に撃てるのかと考えた結果がゲームクリエイターでした。中村隆之さん:大学生ぐらいのときに音楽を仕事にしたいと思ってたんですよ。でもそれってすごく難しいじゃないですか。当時、就職の本というのがあってゲームサウンドクリエイターが載っていて、会社員やりながら音楽作れるんだと思ったのがきっかけでした。ーーユーザーからの反響でうれしかったことってなんでしょうか。中村隆之さん:今がそうなんじゃないですか?池田トムさん:そう! アワードをいただきまして。『愛よさらば』というゲームに反応してくれたり、ポストしてくれたりするのが嬉しいですよね。中村隆之さん:昨日一緒に銭湯にいったんですけど声がデカくて、嬉しかったんでしょうね。ーー元々はライバル関係だったとお聞きしました。池田トムさん:このBitSummitに2回目から出てるんですけど、常に近いブースになんかピリピリしてる先輩がいたんです。それが中村さん。中村隆之さん:いや僕はそんなピリピリしてないですよ(笑)。勝手にピリピリされたんだと思いますけどね。池田トムさん:似たような感じのセンス。売れないゲームをずっと作ってて、ちょっとかぶってるなと思って。ずっと意識してました。ーーそんなお二人が今回新作を作ることになったと。それが19日にリリースされたばかりの『愛よさらば』ですね。どんなゲームなのかご紹介していただけますでしょうか。池田トムさん:AIが便利でやばいじゃないですか。僕らゲームクリエイターももうaiなしでは作れないぐらいにもうなってしまってるし、仕事もちょっとずつ少なくなって単価も下がってる。そういうことを身近に感じて、僕の娘とかもなんか絵を描くのが少しめんどくさくなってきてる。AIで絵を描いたりしてもいいものができてしまうから。そうやってすごく便利なんだけど、ちょっとやばさも感じてる。きっと僕だけじゃないはずです。その共通認識をもうちょっと発展させてみてはいかがかな、ということで、この『愛よさらば』ではAIが統治してる世界になっていて、お絵描きが禁止にされています。そんなifの世界でどうやってそのaiに革命を起こすかという、そんな感じがテーマになっています。タイトルの「愛」にはAIがかかっているんですね。ーー結構シリアスでなおかつ考えさされるようなテーマですね。でも今回なぜお二人が組んでこの作品を作ることになったんですか?池田トムさん:UZZのコンセプトとして、今までずっとゲーム長いこと作ってきたのでちょっと1歩はみ出してみようかなということで、ゲームじゃないところで活躍してたりとかゲームじゃないけど、近いテクノロジーを持ってるところとかに思い切って飛び込んでみて、我々がむしろ得意としてた独創性とかストーリーとかをごちゃ混ぜに“渦”にしてみて、新しいのを作ってみたいって考えてました。その時にやっぱり頭に浮かんだのが中村さんだったんです。ゲームサウンドで1歩踏み出そうとものすごい努力されてる方なので、一番はじめに声をかけました。ーー素晴らしいですね。こちら、クラウドファンディングをされているそうですね。池田トムさん:そもそも『愛よさらば』はクラウドファンディングから始まったゲームです。クラウドファンディングで応援、ご支援をいただいてこのゲームが作れるかどうかが決まってきています。残り2ヵ月ちょっと、70日間ぐらいの皆様の応援とご支援でこのゲームが世に売り出せるかどうかが決まるっていう瀬戸際の状態で、まだ目標には届かいていないので、ぜひちょっとでもご興味があればクラウドファンディングキャンプファイヤーで『愛よさらば』検索していただけたらと思います。ーー今回はその新作ゲームを一足先にプレイして紹介しようと思います。池田トムさん:『愛よさらば』は、おそらく初のApple Pencil対応のゲームなんです。主人公は絵師でアーティスト。アーティストがRPGの勇者みたいな感じでいっぱい出てきます。選ぶ主人公で難易度が変わってきます。ーーキャラクターもなかなか個性があっていいですね。ではこのボクサイというちょっと修行僧みたいな人で。池田トムさん:ボクサイは江戸時代の絵師ですね。RPGでいう武器を装備するみたいな感じでこのボクサイさんは筆を装備して戦います。主人公によってアートスタイルも変わります。ーーまずはサインを描くんですね……あ、普通にサインかける! ちょっとテンション上がりますね。劇中の音楽は中村さんが手掛けているんですよね?中村隆之さん:そうですね。これは江戸時代なんでそれっぽく。ーー真夜中のお絵かき合戦が始まりました。池田トムさん:AIにどうやって革命を起こすかというと、AIはいろんな知識の総合でできてるものなので、その知識の中に入り込んで、絵師の凄さや絵の素晴らしさを植え付けていくわけです。今、江戸時代に飛んだのはその知識のソースデータの中の一部だから。なのでいろんな国のいろんな時代の絵師が登場します。ーー魚屋の看板を描くんですか。中村隆之さん:消しゴムツールはないので、失敗しても消せないようになっています。ーーじゃあちょっとすごい跳ねている感じにしてウロコを描いて……眉毛も描いちゃいましょうか。池田トムさん:魚に眉毛はAIの知識にはないでしょうし、逆にいいかもしれないですね(笑)。ーー描けました! 合格ラインがあるんですね! 60点が合格ラインのところ70点! 良かった〜。池田トムさん:これが今回のウリで、テックが今の絵を判定し、評価もします。ーー「魚の形が捉えられて、タッチがおもしろい。芸術性もあり、親しみやすさが感じられる。もう少し細部にこだわるとより魅力的になりそうだ」。ちょっと大雑把だったかもしれないですね。でも良かった。おもしろいですね!池田トムさん:絵の内容によってストーリーが分岐したりするギミックも盛り込んでいるので、そのあたりも楽しんでもらいたいですね。普段お絵描きをすることって少ないと思うんですけど、こうやってゲームを通じて気軽に楽しく遊んでもらえたらと思っています。ーーでは最後にゲーム作りに興味があるという視聴者様に向けて、お二人からアドバイスをいただけたらと思います。池田トムさん:「はみ出せ!」中村隆之さん:そんなにおもしろいこと言えないですけど「仲間を作ろう」。ーーまさに仲間を作って『愛よさらば』ができたわけですから素晴らしいです! 本日はありがとうございました。『愛よさらば』は、現在クラウドファンディング実施中。ぜひ、応援、支援、革命を!『愛よさらば』CAMPFIRE公式ページはこちらからhttps://camp-fire.jp/projects/848935/view