BitSummit the 13th Summer of Yokai 1Fステージ「M.S.S Projectのクリエイターズトーク」についてレポート形式でお届けいたします。出演者:FB777、eoheoh、林真理(集英社ゲームズ)、ハフハフ・おでーん(墓場文庫)林真理(はやしまこと)集英社ゲームズシニアプロデューサー/『都市伝説解体センター』プロデューサー1998年にポリゴンマジック株式会社に入社。同社では企画部部長、企画制作部副部長を経験後、子会社のジープラ株式会社に異動。その後エイベックス・ピクチャーズでシニアプロデューサー、ディライトワークスでゲームプロデューサーを経て、集英社ゲームズの立ち上げに参画。『都市伝説解体センター』『シュレディンガーズ・コール』『キャプテンベルベットメテオ』などを担当。ハフハフ・おでーん(はふはふ・おでーん)墓場文庫/『都市伝説解体センター』グラフィッカー・デザイナー『和階堂真の事件簿』シリーズや『World for Two』などでドット絵を担当。『都市伝説解体センター』ではキャラクター原案のほか、絵コンテ制作・ドット絵起こし・アニメーション制作などを手がけている。ーー"ヒット作を解体せよ"と題して、発売からわずか3ヵ月で累計販売本数が30万本突破の大ヒット作『都市伝説解体センター』の秘密に迫りたいと思います。プロデューサーの集英社ゲームズ・林真理さん、グラフィッカー・デザイナーの墓場文庫ハフハフ・おでーんさんです。二人:よろしくお願いします。ーー最初にこの質問が入るのですが、お二人はゲーム実況者とかストリーマーの配信は見ていますか?ハフハフ・おでーんさん:僕ら2人とも外国人がでっかい肉を焼く動画くらい見ないので見たことないですね(笑)。林真理さん:やっぱり都市伝説モノをよく見ますね。ーーたしかにそうですよね。わかりました。では早速お二人に『都市伝説解体センター』のヒットの秘密をお伺いしたいと思います。まずはどんなゲームなのかちょっと紹介していただけますか?ハフハフ・おでーんさん:『都市伝説解体センター』は、オカルトや都市伝説をテーマにしたミステリーアドベンチャーとなっております。ーーそもそもどういった経緯で一緒にゲームを作ることになったんですか?林真理さん:もともとgoogleさんが主催しているインディーゲームフェスティバルっていうgoogleさんが主催してるコンテストがあったんです。それに集英社のゲームクリエイターズCAMPが賞を出しまして、受賞したのが墓場文庫さんだったんですね。そこで初めてお会いしまして、1本一緒になにかできたらいいですねみたいなところからだんだん企画ができてきてスタートした感じです。ーーおでーんさんも都市伝説がお好きだった?ハフハフ・おでーんさん:そうですね。都市伝説、オカルト、怪談などのちょっと怪しげなものが好きだったもので。もし好きな都市伝説とか怪談があったら教えていただきたいです。ーー『コトリバコ』とかでしょうか。流行ったのはもう15年前ぐらいでしょうか? インターネットで見かけておもしろいなとおもって。話の出元とかがすごい気になって、そういうところが割と好きだったりしましたね。ハフハフ・おでーんさん:思いのほか上級者の回答がいただけてうれしいですね。『都市伝説解体センター』はそういう方にピッタリなゲームです。ーーゲームづくりにおいて集英社ゲームズさんが参加されたことで大きなメリットがあったそうですね。ハフハフ・おでーんさん:そうですね。集英社ゲームズの中に漫画の編集部にいたスタッフさんがいまして、その漫画のそのエッセンスというかノウハウみたいなものをゲームにうまく取り込むことができたことが、結構おっきなメリットだったかなと思ってます。例えば漫画だと1話の中におもしろい要素をぎゅっと詰め込んでバチっとユーザーの心を掴むというか。そういうアドバイスをいただきました。ーー『都市伝説解体センター』はキャラクターもすごい魅力的ですよね。キャラ作りでのこだわりとかありましたか?ハフハフ・おでーんさん:福来あざみ、廻屋 渉、ジャスミンという3人のメインキャラクターはユーザーの心にしっかり残ってもらえるような、ちょっと濃い味付けのキャラクターになっているかなと思ってます。ーー最初あざみさんはいなかったそうですね。ハフハフ・おでーんさん:そうなんですよ。元々は廻屋 渉というセンター長が主人公で事件を調査するっていう設定だったんですけど、あまりにもミステリアスすぎてちょっと怪異とかに巻き込まれたりとかするタイプではないなと。それで福来あざみという、何もわかってなさそうな主人公っぽいキャラクターを新たに据えるという形になりました。ーー当初はもっと顔がきつめだったという設定もあったらしいですね。ハフハフ・おでーんさん:最初はもうちょっとシリアスなトーンだったんですけど、あまりシリアスになりすぎてもあれだなと思いまして、ちょっと天然なキャラクターにすることにしました。ーーキャラクターに関して予想外の反応とかもあったみたいなことも耳にしました。ハフハフ・おでーんさん:そうですね。福来あざみに人気が集中するかと思ったんですが、思いのほか廻屋 渉人気が高く、林真理さん:会場にゲームを展示してから廻屋くんのファンアートが増えていて、主人公じゃないけど人気あるんだなぁって気付かされましたね。ーーメイン以外の登場キャラクターも負けじと魅力的で、ひと目見てキャラクターがすごくはっきりと個性的なのが素晴らしいと思いました。ハフハフ・おでーんさん:メイン3人に結構濃い味付けにしたので、それに負けないような濃い味付けを施しました。富入順蔵というミステリアスなおじさんが特にお気に入りで……。林真理さん:渋い顔なのにオネエ言葉なんですよ。おでーんさんに「オネエ言葉でいきます」っていわれて「え〜!」って答えたんですけど、「キャラ付けとして絶対いけるんで林さん信じてください!」って説得されて(笑)。ーーではそんなこだわりの詰まった『都市伝説解体センター』をプレイしていきたいと思います。林真理さん:ちょっと『Xファイル』っぽい怪しげなオープニングが流れます。ーーこういうオカルティックなおもしろさはどの時代でも通じるようなところがあってワクワクしますね。あとあざみちゃんがかわいい。林真理さん:最近あざみのコスプレをしてくれる人も増えてうれしいんですよ。ハフハフ・おでーんさん:あざみには普通の人には見えないなにかが見えているみたいですね。ーーあ〜へんなものが見えちゃうんですね。自分もなにか見たい! 幽霊と話してみたい。さあ、怪しい空間にはセンター長の廻屋 渉が待っているわけですね。かっこいいんだよなぁ。林真理さん:そしてなぜかあざみの名前を知っていると。ーーいやグラフィックがめちゃくちゃすごいですよね! ドット絵を動かして、ブライクもかなり特徴的でセンスがあるというか。ハフハフ・おでーんさん:ありがとうございます。林真理さん:ほとんど9割がたおでーんさんが一人で作ってるんですよ。ーーめちゃくちゃすごいですよ。はんぱじゃない。林真理さん:あざみちゃんのちょっとした仕草であったり、廻屋の前髪の動きとか、ドット絵ならではの表現が面白いですよね。あとドット絵ということですこし怖さが増すんです。ーードット絵って想像力がめちゃくちゃ掻き立てられますよね。解像度が低いぶん自分の頭の中で補うというか。ファミコンとかのゲームもそうでした。ゲーム性にすごくマッチしたグラフィックだと思います。ハフハフ・おでーんさん:実はファミコンよりも解像度が低いんですよ。ーーそうなんですか! とりあえず導入部分までプレイしてみましたがスムーズで、ノベルゲーで時たまある間延び感も全く感じませんでした。林真理さん:ストーリーが進むごとにどんどん謎が深まっていって、後半まで楽しむと当初とガラリと印象が変わるゲームになっているので、ぜひプレイしてもらいたいです。ハフハフ・おでーんさん:今までゲームをやったこなかった人でもアニメを見る感じで楽しめるので、たくさんの人にやっていただけたらなと思います。ーーでは最後にお二人から自分でゲームを作りたい思ってる人に向けて、おもしろいゲームを作る上での大切なことを教えていただけたらと思います。林真理さん:「楽しむ!!」ですね。作り手が楽しむ、お客さんが楽しむ、とにかく楽しくないとゲームじゃないので、色んな人にゲームを通して楽しんでいただきたいなと思ってる感じです。ハフハフ・おでーんさん:僕はこれですね、「軽はずみにやれ!」。僕自身、このBitSummitに訪れてインディーゲーム開発を軽はずみに始めたので、ぜひ軽はずみにやっていただきたいと思っています。ーーありがとうございました!